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より永くコンクリート舗装を使うためのポイント集〜コンクリート舗装ガイドブック2016補足資料〜

背景

コンクリート舗装は,表層にコンクリート版を用いた高耐久な舗装で,長期的に見ればライフサイクルコストの観点において優れていると考えられています。一方で,コンクリート版の養生のため交通開放まで一定期間を要することや,車道の路面下にライフライン等が収容され占用工事対応が求められる区間である場合など,適用に際して十分な検討を必要とする場合もあります。このためコンクリート舗装を適材適所で有効に活用することが求められています。

国土交通省では,平成24年の第3期技術基本計画にて,「コンクリート舗装等耐久性の高い素材の採用等によるライフサイクルコストの縮減を目指す」ことを掲げており,これを受け平成25年以降の設計業務等共通仕様書では,「基盤条件,環境条件,走行性,維持管理,経済性(ライフサイクルコスト)等を考慮し,舗装(アスファルト舗装/コンクリート舗装等)の比較検討のうえ,舗装の種類・構成を決定し,設計する」旨が示されています。

このような状況に鑑み,コンクリート舗装に関する知識の習得および技術力の向上を目的に,指針・便覧等をよりわかりやすく,かつ初心者でも理解できるよう,図・表や写真を多く使った図書として,平成28年3月に「コンクリート舗装ガイドブック2016」が発刊されました。

一方,アスファルト舗装に比べてコンクリート舗装は施工実績が少ないため,コンクリート舗装に携わった道路管理者や技術者は一部に限られています。そのため,コンクリート舗装についての十分な知識が無く、本来長寿命が期待できるにもかかわらず、早期にひび割れが発生するなどの不具合がまれに発生し、そのことがコンクリート舗装の誤ったイメージを与えていることが懸念されています。

そこで,「コンクリート舗装ガイドブック2016」の参考資料として,当時ガイドブックを執筆したメンバーが中心となり,不具合の要因や不具合を未然に防ぐ方策,また不具合が生じてしまった場合の対処法について知見をとりまとめた技術資料として、本技術資料を作成することとなりました。

令和3年12月には、舗装種別選定の具体の検討作業の流れや留意事項についてとりまとめた「舗装種別選定の手引き」をHPにて公表するとともに,令和4年3月には設計業務等共通仕様書の参考図書にこの手引きが追加されました。コンクリート舗装の誤ったイメージをお持ちの方も本補足資料を参考に、適切な舗装種別選定を行われることを期待しています。


本資料について

本資料では,コンクリート舗装の設計,材料・施工,維持修繕の各段階において生じる可能性のある不具合について実例を挙げて紹介すると共に,

  • 設計,材料・施工,維持修繕のどの段階においてどのような原因で生じたのか。
  • 発生させないためには,どのような点に留意しなければならなかったのか。
  • 起こってしまった場合に,どのような措置を施す必要があるか。

について分かりやすくまとめました。ただし,各事例の原因については,必ずしも起こり得る原因を全て示したものではなく,その事例の現場における主な要因を示しています。

各事例には「コンクリート舗装ガイドブック2016」の参考となる箇所が示されており,同図書と本技術資料を併用することでコンクリート舗装についてより深い知識を習得することができるようになっています。特に,設計に携わる方は設計に関する事例を,材料や施工に携わる方は材料・施工に関する事例を,維持修繕に携わる方は維持修繕に関する事例をそれぞれ熟読していただくことが重要です。

また,現場において,本技術資料でとりあげた事例に類似した不具合が生じた場合の対応を検討する際の参考としていただくことも可能です。類似した事例の内容で検索可能な一覧表も,技術資料と併せて公開していますのでご活用ください。

ただし,本技術資料に記載されている発生防止策や発生した場合の対応策についてはあくまで一例であり,実際の対応については,想定メカニズムに対応しつつ個々に置かれている現場条件を踏まえ,受発注者間で協議して総合的な判断のもと,適切に決める必要があります。また,本技術資料で取り上げている不具合は本来の設計では想定していないものであるため,対応した際はその結果を記録するとともに,その後の経過について継続して観察することが重要です。

なお,各事例の発生箇所については,以下の図に示すとおり,

  • 縦目地
  • 横目地
  • コンクリート版表面
  • コンクリート版端部
  • コンクリート版内部

の5箇所に分類し,整理しています。




図: 不具合発生箇所の分類

事例のダウンロード

事例一覧(XLSX 18KB)・・・留意すべき段階や発生箇所,不具合の種類による事例の絞り込みができます。

すべての事例のダウンロードはこちら(PDF 7066KB)から


設計に関する事例

クリックで展開 / 折りたたみ
番号 発生箇所 図・写真 内容 ガイドブック
参考箇所
設計01
(PDF 423KB)
@縦目地
A横目地
  • トンネル内の普通コンクリート舗装本線と接する非常駐車帯において,横方向目地位置が一致しない箇所(T字の目地)でひび割れが生じた。
  • 既設コンクリート舗装に隣接した増設レーンで横方向目地位置が一致しない箇所で(T字の目地)でひび割れが生じた。
コラム11 目地割りの注意点@
設計02
(PDF 643KB)
@縦目地
A横目地
  • 縦目地と横が鋭角に交差する鋭角部にひび割れが生じた。
4-4-5 コンクリート版の補強
9-3-1 ひび割れ
設計03
(PDF 434KB)
@縦目地
A横目地
  • 転圧コンクリート舗装の鋭角目地の箇所に隅角ひび割れおよび角欠けが生じた。
6-3-1 目地の分類
9-3-1 ひび割れ
設計04
(PDF 444KB)
Cコンクリート版端部
  • 約100m間隔で横断側溝を配置する設計の普通コンクリート舗装工区を厳冬期に施工したが,夏季になり横断側溝にひび割れが生じた。
4-4-1 目地の分類と構造
設計05
(PDF 452KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 普通コンクリート舗装版中に設置された集水桝の角から舗装にひび割れが生じた。
4-4-5 コンクリート版の補強
9-3-1 ひび割れ
設計06
(PDF 406KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • コンクリート版が複数レーン隣接する現場において,中央レーン付近のコンクリート版中央に幅の広い縦方向ひび割れが生じた。
コラム12 目地割りの注意点A〜駐車場への適用〜
設計07
(PDF 513KB)
A横目地
  • トンネル内の普通コンクリート舗装歩道端部にそり上がりによる段差が生じた。
4-8-9 特殊箇所の施工
設計08
(PDF 479KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 2車線同時に施工した幅員8mの連続鉄筋コンクリート舗装版の,車道中央部付近に,不規則な縦ひび割れが生じた。
5-4-1 目地の分類と構造
9-3-1 ひび割れ
設計09
(PDF 461KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 寒冷地の普通コンクリート舗装に縦断方向ひび割れ,横断方向ひび割れが生じた。
3-4-3 環境条件
4-3-3 理論的設計方法
4-5-1 構築路床用材料
設計10
(PDF 725KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • コンクリート版の縦断方向および横断方向に複数のひび割れが生じた。
9-3-1 ひび割れ

材料・施工に関する事例

クリックで展開 / 折りたたみ 型枠の取りはずし
番号 発生箇所 図・写真 内容 ガイドブック
参考箇所
材料・施工01
(PDF 820KB)
Bコンクリート版表面 事例が複数あるため写真はなし
  • 施工において良好な平たん性を確保できなかった。
普通コンクリート舗装
4-6〜4-8
連続鉄筋コンクリート舗装
5-6〜5-8
材料・施工02
(PDF 656KB)
Bコンクリート版表面
  • 粗面仕上げでのほうき目の施工において適切な粗面に仕上がらない。
4-8-3 セットフォーム工法(13)
表面仕上げ
材料・施工03
(PDF 638KB)
Cコンクリート版端部
  • コンクリート舗装表面に微細なひび割れが発生した。
4-8-11 初期ひび割れ対策
材料・施工04
(PDF 556KB)
Cコンクリート版端部
  • 冬季の施工において,型枠の取りはずし時に角欠けが発生した。
4-8-3 セットフォーム工法(14)
材料・施工05
(PDF 679KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 施工中に機械トラブルが発生し,施工が一時中断した箇所において,コンクリートの先行打設部と後打部の間にコールドジョイントが発生した。
4-8-2 コンクリートの製造と運搬
材料・施工06
(PDF 769KB)
Bコンクリート版表面
  • 連続鉄筋コンクリート舗装の横断ひび割れが,想定より間隔が広く,幅の広いひび割れが生じた。
5-4-2 配筋
5-6 コンクリートの配合
材料・施工07
(PDF 533KB)
A横目地
  • 目地に平行にひび割れが集中して発生した。
4-5-3 コンクリート版用素材
材料・施工08
(PDF 503KB)
Bコンクリート版表面
  • 路面凍結防止のためにエチレングリコールを主成分とする融氷剤を使用する道路において,コンクリート表面が薄い皿状にはく離するポップアウトが発生した。
4-5-3 コンクリート版用素材
材料・施工09
(PDF 541KB)
A横目地
  • 施工後早期に,横収縮目地から数cm離れた箇所に,目地に沿って幅1〜5mm程度のひび割れが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工10
(PDF 633KB)
A横目地
  • 施工後早期に,横収縮目地から数十cm離れた箇所に,目地に沿って幅1〜5mm程度のひび割れが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工11
(PDF 531KB)
A横目地
  • ダミー目地付近に角欠けが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工12
(PDF 809KB)
@縦目地
  • 縦目地近傍(1〜5cm程度)にひび割れが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工13
(PDF 574KB)
@縦目地
  • 幅約8mの連続鉄筋コンクリート舗装の縦カッタ目地において,三角材の上部ではなく,縦方向鉄筋の上部に打設数時間後に縦ひび割れが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工14
(PDF 768KB)
A横目地
Cコンクリート版端部
  • 縁部付近に横クラックが発生した。
4-8-6 目地の施工
材料・施工15
(PDF 475KB)
A横目地
  • 供用中に注入目地材のはみ出しが生じた。
4-8-6 目地の施工
9-3-2 目地部の破損
材料・施工16
(PDF 510KB)
@縦目地
A横目地
  • 供用前の目地部において,注入目地材とコンクリート版の間に隙間が生じた。
4-8-6 目地の施工
材料・施工17
(PDF 808KB)
Cコンクリート版端部
  • 夏季に施工された普通コンクリート舗装の脱型後の断面において,豆板の発生を確認した。
4-8-3 セットフォーム工法(12)締固め
材料・施工18
(PDF 850KB)
@縦目地
  • 突合せ目地の近傍に,角欠けが発生した。角欠け部分を目視調査した結果,内部に空隙があることが確認された。
4-8-3 セットフォーム工法(12)締固め
材料・施工19
(PDF 931KB)
Bコンクリート版表面
  • コンクリート版施工時に,コンクリート版の表面仕上げが不良となる個所が生じた。
4-8-3 セットフォーム工法(13)表面仕上げ
材料・施工20
(PDF 502KB)
Bコンクリート版表面
  • コンクリート表面に,縦断方向に写真のような縞模様が発生した。表面を調査した結果,凹凸は殆ど存在せず光の加減により縞模様に見えている状態である。
4-8-3 セットフォーム工法(13)表面仕上げ
材料・施工21
(PDF 522KB)
Bコンクリート版表面
  • コンクリート表面に荒れが生じている。
4-8-8 養生
材料・施工22
(PDF 500KB)
Bコンクリート版表面
  • 交通開放後,部分的に沈下し破損した。コアを採取し確認したところ,下部に締固め不足が発見された。
4-8-3 セットフォーム工法(12)締固め
材料・施工23
(PDF 835KB)
Bコンクリート版表面
  • コンクリート表面に異物の混入や動物の足跡がある。
4-8-3 セットフォーム工法
4-8-8 養生
材料・施工24
(PDF 921KB)
Bコンクリート版表面
  • 暑中に施工されたコンクリート舗装の表面に,写真のような細かなひび割れが発生した。
4-8-2 コンクリートの製造と運搬
材料・施工25
(PDF 959KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 連続鉄筋コンクリート舗装の縦方向鉄筋の直上にひび割れが発生した。
4-8-11 初期ひび割れ対策
材料・施工26
(PDF 907KB)
@縦目地
  • 施工直後に縦目地部に段差が発生していた。
4-8-3 セットフォーム工法(4)舗設の準備
材料・施工27
(PDF 923KB)
@縦目地
Cコンクリート版端部
  • 目地部において,コンクリート版がはく離し,鉄網や鉄筋が露出した。
  • 開削調査により,コンクリート舗装版の中央分離帯側もしくは路肩側の端部で,目地を中心に水平ひび割れ,端部補強筋に著しい腐食が確認された。
4-8-7 鉄網および縁部補強鉄筋の設置
材料・施工28
(PDF 971KB)
Dコンクリート版内部
  • 現場でコアの採取を行った結果,断面において写真のように材料分離が発生していた。
4-8-2 コンクリートの製造と運搬
材料・施工29
(PDF 497KB)
A横目地
  • 建屋内の目地金物がないコンクリート舗装版において,湿潤養生を一ヶ月以上行い水和反応により十分な強度は発現していると思われるが,養生終了後に目地部の端部にそりが生じた。
4-8-8 養生
材料・施工30
(PDF 474KB)
Bコンクリート版表面
  • 施工後,コンクリート舗装上を乗用車が時速50km程度で走行したところ,異音が発生した。
  • 平たん性等の出来高管理基準は満足していたが,路面を詳しく調査したところ、約1m間隔で,規則的に中央部の高さが2mm程度凹んだ波状になっていた。
4-8-3 セットフォーム工法(13)表面仕上げ

維持修繕に関する事例

クリックで展開 / 折りたたみ
番号 発生箇所 図・写真 内容 ガイドブック
参考箇所
維持修繕01
(PDF 402KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 連続鉄筋コンクリート舗装の局部打換えを実施した箇所において,打換え部の中央に幅の広いひび割れが発生した。
9-3-1 ひび割れ
維持修繕02
(PDF 579KB)
A横目地
  • 横目地部に段差が生じており,目地部から砂が噴出した跡があった。
9-3-3(1) 版と版との段差
維持修繕03
(PDF 590KB)
@縦目地
A横目地
  • コンクリート版隅角部の角欠けをパッチングにより補修した箇所について,目地に沿ってひび割れが生じた。
9-3-1(4) 隅角ひび割れ
維持修繕04
(PDF 674KB)
A横目地
  • 目地部の角欠け発生箇所について補修材によるパッチングを実施したが,はく離やひび割れなどの損傷が早期に生じた。
9-6 維持修繕工法の種類と破損の程度に応じた工法の選定
維持修繕05
(PDF 597KB)
A横目地
  • 目地部において,半月状の大きな角欠けが生じた。
9-3-2(2) 目地部の角欠け
維持修繕06
(PDF 898KB)
A横目地
  • 車輪走行部分の目地材が飛散し,若干の角欠けが発生している。また,目地材が消失している部分の一部には,草が生えている。
9-3-2(1) 目地材のはみ出し・飛散
維持修繕07
(PDF 836KB)
Bコンクリート版表面
  • 表面の摩耗したコンクリート版について,樹脂モルタルで補修したが,1ヶ月程度で補修材のはく離が生じた。
  • 残存している補修材についても浮きが確認された。
9-6 維持修繕工法の種類と破損の程度に応じた工法の選択
維持修繕08
(PDF 828KB)
Bコンクリート版表面
Dコンクリート版内部
  • 夜間に局部打換えを実施した翌日に,打換え箇所と既設コンクリート版の境界部で圧壊が生じた。
該当箇所なし
維持修繕09
(PDF 862KB)
Dコンクリート版内部
  • ボックスカルバートの裏込め材の上に施工されたコンクリート版の中央にひび割れが生じ段差が生じた。
  • アスファルト混合物によるオーバーレイを実施する際,上記の箇所でコンクリート版の表面を切削することで段差を修正した結果,座屈が生じ路面が30cm程度隆起した。
4-4-5 コンクリート版の補強

追加・更新状況

R4.7.19 技術資料を公開しました。

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